困っている女性たち

感染力は弱いが危険性の高いHIV

HIVやエイズと聞くと、不治の病とイメージする人も少なくありません。
実際医療が発達した現代でも、HIVと共存する事は出来ても完全に排除する事は出来ず、完治を見込む事は出来ません。
ちなみにHIVとエイズは混合されがちですが、それぞれの意味合いは全く違います。
まずHIVはヒト免疫不全ウイルスとも言われます。
人の免疫細胞に感染してこれを破壊していくウイルスで、最終的に免疫不全となって発症するのがエイズです。

治らない病気というイメージから恐れられていますが、実はHIV自体は感染力の弱いウイルスです。
人の体の中でないと生きていく事は出来ず、空気や水に触れるだけで感染力は失われます。
そのため日常生活の中で感染する事はなく、感染経路は限られています。
HIVは感染者の精液や膣分泌液、血液、母乳に多く潜んでおり、これらが媒体となって感染します。
涙や汗、唾液にも含まれますが、その量は微量であり、元々弱いウイルスなので感染には至りません。

HIVの感染経路は性感染、血液感染、母子感染に限られます。
この中でも特に感染報告が多いのは性感染です。
セックスはウイルス量の多い精液や膣分泌液、血液が女性の膣や男性の尿道口などの粘膜に直接触れます。
男女間のセックスはもちろんのこと、男性同士のセックスは肛門を使う事が多く、腸の粘膜に精液が接触して感染します。
本来は性行為を行う場所ではないので、傷がつきやすく男女間のセックスよりも感染リスクが高くなってしまいます。

もしHIVに感染すると、一部の人に初期症状が現れます。
これは危険行為があった2週間前後で起こる事が多く、39℃以上の発熱や喉の痛み、下痢、赤い発疹などインフルエンザのような症状です。
体内にHIVが一気に増えるためで、感染者全員に出る訳ではなく、ウイルス量が一旦落ち着くと自然治癒します。
その後は何も症状がない無症状期に入るのですが、この間も体の免疫細胞はHIVウイルスによって攻撃され、次第に免疫力低下が進行してエイズを発症してしまいます。

HIV治療の現在とこれから

エイズが不治の病と言われたのは昔の事です。
初めて患者が発見された時は、治療の施しようがない危険な病気として日本でも海外でも恐れられていました。
昔は明確な治療法も確立されていなかったので、エイズを発症すると2年ほどで亡くなる患者が多かったです。

現代は医療も進歩し、抗HIV薬の開発や母子感染を抑えることができる治療法なども成功しています。
時代とともに治療法も変化してきており、以前はCD4陽性リンパ球数がある程度の数値まで下がってから治療を開始するというのが主流でしたが、最近は早い段階から治療する事が推奨されています。
昔の抗HIV薬は副作用が強く内服自体も困難でしたが、最近は副作用の少ない治療薬が開発されています。
これは、早期治療による様々な利点を考慮しての事です。

ちなみに抗HIV薬の服用は、以前は1~2剤の服用だったのに対し、現在は3~4剤の内服薬を組み合わせて治療が行われます。
1~2剤ではすぐにウイルスが耐性を獲得して薬が効かなくなってしまう事が問題でしたが、3~4剤を同時に服用する事で強力な抗ウイルス療法で感染者の予後も飛躍的に改善しています。

進歩した抗HIV療法により体内のHIV量をコントロールし、病気の進行を抑えたり遅らせたりする事が可能になりました。
薬でコントロール出来るので、慢性疾患として考えられるようにもなりましたが、それでもエイズを完全に消滅させる事は出来ません。
また薬を飲み忘れると効かなくなり、治療が困難になってしまうのも今後の課題です。

HIVが発見されてから月日が経過していますが、今でも感染者が増加傾向にあります。
今後は更なる抗HIV薬の進歩とともに、ワクチンの開発が期待されています。
そしてもう一つ、若年層患者が増加しているのも問題になっており、改めて若者に性に対する正確な知識と安全な行動を伝えていかなければいけません。

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